パーキンソン病の発症メカニズムについては、数多くの仮説が提唱されており
研究が進むにしたがって、ますます複雑化しています。
「αーシヌクレイン」もその仮説の一つです。
他にも、ミトコンドリア機能の低下を原因とする仮説も提唱されています。
〇パーキンソン病は、ミトコンドリア機能不全によって起こるもの?
ミトコンドリアとは、一つひとつの細胞内にある器官で、
酸素を取り込みエネルギーに変える役割を果たします。
黒質ドパミン神経細胞にも、もちろんミトコンドリアは存在します。
正常な細胞であれば、損傷や老化により機能が低下したミトコンドリアを、
選択的に除去する非常に優れたシステムで細胞を保護しています。
このシステムがうまく機能しないことで、機能低下したミトコンドリアが蓄積し、
パーキンソン病の発症につながっているのではないかと考えられています。
また、ミトコンドリアのエネルギー産生の際に、活性酸素が生まれることがあります。
活性酸素は、ミトコンドリア自体を傷つけ、細胞死につながります。
ドパミンが代謝される過程でも活性酸素が発生しますので、
ミトコンドリアの機能低下→細胞死が脳の黒質内で起きてしまうことで、
パーキンソン病が発症する原因の一つになっているという意見もあります。
また、ミトコンドリアの異常は、アルツハイマー病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、
ハンチントン舞踏病などの主要な神経変性疾患の原因としても注目されています。
〇水素水でパーキンソン病を予防できる!?
九州大学で行われた研究で、水素水を飲ませたマウスと通常の水を飲ませたマウスに薬品を投与し、
実験的に脳神経変性疾患(パーキンソン病)を発症させました。
水素水を飲用させたマウスは、パーキンソン病に見られる
黒質ドパミン神経細胞の脱落が顕著に抑制されました。
また脱落の原因とされる活性酸素の生成量、
DNAの酸化損傷も抑制されることが明らかになりました。
まだマウスの研究段階ですが、水素を摂り入れることで
パーキンソン病を予防、進行を抑制できる可能性が示されています。
【参考】
『水素を含んだ水の日常飲用が脳神経の変性を防ぐ事を発見 ~パーキンソン病モデルマウスに対する治療・予防効果~』|九州大学